こんにちは、ToMO(@tomo2011_08)です。
高市政権の最初の物価高対策となりそうなのがガソリン減税です。
代わりに株取引などの「もうけ」にかかる税金を増税する案が浮上しています。
いわゆる、金融所得課税の強化です。
ガソリン減税と軽油の減税を行うと、1.5兆円の財源確保が必要になってきます。
財源の候補の1つに上がっているのが金融所得課税の強化で、内容によっては一般投資家には死活問題となります。
まだ検討中であるため、確定した内容があるわけではありませんが、今後の検討状況を注視することは重要なことでしょう。

そこでこの記事では、金融所得課税とは、金融所得課税の強化の検討、今後の展望についてなどを解説します。
株式投資されている方におすすめの記事になります。
目次
金融所得課税とは?
日本の所得税には、大きく分けて総合課税と申告分離課税の2つの課税方式があります。
そのうち金融所得は、給与所得などとは「分離」して、金融所得だけで独立して一律の税率で税金を計算する申告分離課税が適用されています。
総合課税とは
総合課税は「合算して計算する」方式です。
給与所得、事業所得、不動産所得など、ほとんどの所得がこれに該当します。
これらを1年分すべて合算し、その合計金額に対して税率が決まります。
特徴は、所得が多ければ多いほど税率が上がる「累進課税」が採用されている点です。
所得税と住民税を合わせると、税率は最低約15%から最高約55%まで段階的に上がっていきます。
申告分離課税とは
申告分離課税は「分けて計算する」方式です。
今回の主役である「金融所得課税」、具体的には株式や投資信託の譲渡益(売却益)や配当所得がこれにあたります。
これらの金融所得は、給与所得などとは「分離」して、金融所得だけで独立して税金を計算します。
最大の特徴は、所得がいくらであろうと税率が「一律」である点です。
金融所得課税の税率
現在、私たちが特定口座などで株を売買して利益が出ると、自動的に天引きされる税率は20.315%です。
この「一律20.315%」という数字が、金融所得課税の強化によってどうなるのかということです。
この内訳は以下のようになっています。
所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:0.315%(所得税15%の2.1%分で、2037年まで)
総合課税が最大55%であるのに対し、金融所得課税はどれだけ儲けても20.315%で打ち止めとなります。
この「一律20.315%」という仕組みが、本当に公平なのかどうかが問われています。
金融所得課税の強化の議論
これまで政府は、「貯蓄から投資へ」ということでNISA拡充政策を進めてきました。
しかし、ここにきて金融所得課税の強化ということで矛盾しているように見えます。
高市政権は、発足直後から物価高対策を最重要課題の一つしています。
その具体的な施策として、ガソリン価格に上乗せされている「旧暫定税率」を廃止する法案の成立を急いでいます。
この減税が実現すれば、国民の負担は直接的に軽くなりますが、国としては年間数兆円規模の莫大な税収を失うことになります。
そこで、穴埋めとなる恒久的な代替財源が必要になります。
自民党内で、この代替財源の候補として急浮上したのが、「金融所得課税の強化」でした。
つまり、今回の増税議論は、まず「税の公平性をどうすべきか」という議論から始まったのではなく、「ガソリン減税の財源をどう捻出するか」という極めて政治的かつ実務的な要請からスタートしているという側面が強いです。
片山さつき財務大臣は、「一般投資家の投資環境を損なわれない」配慮と「税負担の公平性」を両立させると述べているので、一般投資家にはそれほど影響のないものなのかもしれません。
これは、今回の増税論の「表向きの理由」であり、長年の懸案事項でもある「1億円の壁」の是正を念頭に置いた発言です。
所得が増えるほど「税負担が下がる」逆転現象
「1億円の壁」とは、国税庁が公表する申告納税者の統計データを分析すると現れる、所得税の不可解な現象を指します。
所得が多ければ多いほど、所得全体に占める税金の割合(これを「実効税負担率」と呼びます)は、上がり続けるはずです。
ところが、実際のデータを見ると、この実行税負担率は、合計所得金額が「1億円」に達するあたりをピークに、それ以上になると逆に「下がっていく」という逆転現象が起きているのです。
所得が5億円の人より、10億円の人の方が実効税負担率が低い、といった事態が発生しています。
これが「税負担の公平性」に反するとして、長年問題視されてきました。
なぜ「壁」が生まれるのか?
この「壁」が生まれる理由は、「総合課税」と「分離課税」の仕組みの違いにあります。
所得構造の変化
納税者の所得の中身は、所得階層によって大きく異なります。
- 所得1億円以下の層
所得の大半は「給与所得」や「事業所得」です。
これらは「総合課税」の対象であり、所得が増えれば最大55%の累進税率が適用されます。
- 所得1億円を超える層
いわゆる富裕層です。
彼らは、所得に占める「金融所得(株の売却益や配当)」の割合が急激に増加します。
分離課税の「恩恵」
金融所得は、いくら儲けても税率は「一律20.315%」で頭打ちです。
この仕組みが、「壁」を生み出します。
例えば、年収10億円の人がいるとします。
その内訳が「給与1億円 + 金融所得9億円」だった場合、所得の大部分を占める9億円部分には、20.315%の税率しかかかりません。
所得が1億円から10億円、100億円と青天井に増えても、その中身が金融所得であればあるほど、所得全体の平均税率は「20.315%」という低い水準に収束していくことになります。
これが、「1億円の壁」の正体です。
なぜ「壁」が生まれるのか?
この歪さは、国税庁の2022年分のデータにも明確に表れています。
所得5,000万円超~1億円以下の同じ階層の納税者を比べても、その中身によって大きな差が出ています。
- 事業所得者(主に事業で稼いでいる人)の税負担率
35%
- その他所得者(主に金融所得で稼いでいると推定される人)の税負担率
16.33%
同じ「高額所得者」の区分であるにもかかわらず、汗水流して稼ぐこ事業所得者の税負担(35%)が、金融所得者の税負担(16.33%)の2倍以上になっています。
この申告な格差こそが「歪み」であり、これを是正すべきだというのが、課税強化を求める側の論理です。
今後の展望
ガソリン暫定税率の廃止は、今秋の臨時国会で可決される情勢ですが、その財源としての増税で金融所得課税の強化が行われるかどうかは、まだ決定していません。
仮に金融所得課税の強化が行われるとすると、どのような方法が考えられるでしょうか。
報道や専門家の議論に基づき考えてみましょう。
一律税率の引き上げ
最もシンプルで、税収の計算も簡単な方法です。
現在の一律20.315%を、全員一律で25%や30%などに引き上げる案です。
この案は、税収が計算しやすく、ガソリン減税の代替財源とし確実な反面、富裕層狙いの増税ではなく、NISAの枠を超えて投資をする全ての人に影響します。
貯蓄から投資への流れに反しており、一般投資家の投資マインドを最も冷え込ませる案です。
超富裕層の税率のみ引き上げ(ミニマムタックス)
金融所得も含めた「全ての所得」の合計が極めて高額(30億円超など)な人に対して、金融所得に対する税率を30%などに引き上げる案です。
この案は対象者が極めて限定的なため、一般投資家への影響はありません。
しかし、対象者が少なすぎて、ガソリン減税の代替財源としては税収が足りない可能性もあります。
一定以上の所得は総合課税にする
たとえば、「年間の金融所得が3,000万円までは、今までの分離課税のまま。しかし、3,000万円を超えた部分は、給与所得などと合算して総合課税(最大55%)にする」といった、累進課税を導入する案です。
「1億円の壁」の是正に直結します。
しかし、線引き(3,000万円など)の妥当性が難しく、富裕層による「年末の利益確定を3,000万円に抑える」といった、不自然な節税行動を誘発する可能性があります。
選択的総合課税の導入
基本となる金融所得の税率を、現在の20%から30%に引き上げます。
しかし、そのままだと負担が重すぎる所得の低い投資家は、自ら「総合課税」を選択できるようにします。
富裕層は、総合課税を選ぶと税率55%になるため、「一律30%」を選びます。
その結果、税率は20%から30%に上がり、増税が実現します。
一方で、低所得者層は、総合課税を選ぶと、累進課税の低い税率が適用されるため、実質的に減税になるか、負担が変わりません。
子の案は、「1億円の壁」の是正と「低所得者層への配慮」を両立できる、最も合理的かつ公平な案の一つです。
しかし、制度が複雑になり、恩恵を受けるためには「確定申告が必須」になるなど、事務的なハードルが上がるという欠点があります。
まとめ
今回は、ガソリン減税の代替財源確保のために政府で検討されている金融所得課税の強化について記事にしました。
「1億円の壁」に象徴される税の公平性という長年の構造的課題が議論の中心となっているということで、一部の富裕層を対象に増税が検討されているらしいです。
政府で検討されているものの、まだ行うか行わないのか、行うとするとどのような改正になるのかは決定されていませんが、これまでの報道や専門家の議論に基づいてどのような改正になるのかを考えてみました。
個人投資家としては、NISA口座の非課税には影響を及ぼさないこと、一律の税率引き上げのような低所得者層には影響を及ぼさないことを望みます。
いずれにしても、今後の政府の税制議論の行方を、「公平性」と「市場の活力」という両面から、冷静に注視していく必要があるでしょう。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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