こんにちは、ToMO(@tomo2011_08)です。
2019年1月から出国時に課税される「国際観光旅客税」通称出国税が導入されています。
検討段階では観光促進税と呼ばれていましたが、正式名称は国際観光旅客税となりました。
出国税の値上げが検討されているというニュースもありましたが、出国税が既に導入されていることを知らない方も多いのではないでしょうか。
外国人観光客が一気に増えて、オーバーツーリズム問題の報道も増えているため、その対策のための費用を外国人観光客から徴収する目的と思っていたのですが、日本人にも出国税が徴収されています。
出国税の目的は何なのか?なぜ日本人からも出国税が徴収されているのか?という疑問が湧いてきます。
そこでこの記事では、出国税とは?対象者は?何のための税金?についてわかりやすく解説します。
海外旅行がお好きな方や、海外出張が多い方におすすめの記事になります。
目次
出国税とは?
出国税とは、日本から出国するすべての人に課される税金で、正式名称を「国際観光客旅客税」といいます。
2018年に成立した国際観光旅客税法に基づき、2019年1月7日から施行されています。
この制度により、日本を出国する旅客1人あたり1,000円が徴収され、主に観光インフラの整備やサービス向上など、訪日外国人の受け入れ体制強化のために使われます。
23年度の税収は前年度比約3倍の399億円に達し、25年度は490億円を見込んでいます。
観光庁によると、24年の訪日外国人数は3687万人、出国日本人数は1301万人でした。
訪日外国人は今後も増加が見込まれ、政府は30年に訪日客数6000万人を目指しています。
出国税の対象者は?
出国税(国際観光旅客税)は、船舶または航空機で日本を出国するすべての人が対象です。
つまり、日本人・外国人を問わず、飛行機や船で日本を離れる全ての旅客に対して、出国のたびに1,000円が課税される仕組みです。
観光目的に限らず、ビジネス出張や帰国など、出国という事実に対して課税されるため、対象者は非常に幅広くなっています。
例えばこんなケースも課税対象です。
- 日本人が海外旅行に行く場合
- 外国人観光客が帰国する場合
- 留学生や出張者が海外へ向かう場合
出国税の税率は?
出国税の金額は、2025年現在も変わらず「1回の出国につき1人1,000円」です。
金額としては決して高くないように思えるかもしれませんが、出国するたびに毎回課税されるため、海外旅行が多い方にとっては痛い出費です。
またこの金額は「1人あたり」なので、家族旅行では人数分かかる点にも注意が必要です。
- 大人2人+子供2人での出国 → 4,000円
- 複数回の出国がある → 年間で1万円以上になることも
「出国1回につき」とは、基本的に1人1回の出国審査を基準としてカウントされます。
- クルーズ船で一度出国 → 外国に寄港 → 再度日本に寄港 → もう一度出国 → 2回分
- 1人で2席分の航空券を購入 → 1回分のみ課税
このように、チケットの枚数や航空会社の契約数に関わらず、「1人・1出国」につき課税というのが基本ルールです。
出国税はいつ支払う?
航空券やツアー代金などに自動的に上乗せされているため、出国時に個別で支払う必要がありません。
具体的には、航空会社や船会社などの「国際旅客運送事業者」が特別徴収義務者となり、チケット代に上乗せする形で徴収されます。
そのため、空港で「出国税専用の支払い窓口」があるわけではなく、チケット購入時にすでに支払っていると考えてよいです。
※マイルを使って特典航空券を発券した場合でも、諸税として出国税が別途請求されます。
出国税は何のための税金?
出国税(国際観光旅客税)は、日本が「観光先進国」としてより快適な旅行環境を整備するための財源として導入されました。
国税庁の公表によれば、主に以下の3つの分野に活用されています。
ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備(約223.7億円)
顔認証や手続きの自動化、Wi-Fiの整備、多言語対応、トイレの洋式化、キャッシュレス対応など、出入国・観光の利便性向上を目的とした環境整備
多様な魅力に関する情報入手の容易化(約51.5億円)
ビッグデータ・SNSを活用し、外国人旅行者に合った観光情報や広告を表示する仕組みを整備。
まだ知られていない地域資源の発信にも活用
地域の観光資源を活かした体験・滞在環境の向上(約209.7億円)
文化財や自然公園などを活用した「日本らしさ」を伝えるコンテンツづくり、多言語ガイド、滞在拠点の快適化など、地域全体の魅力を底上げ。
このように、徴収された出国税は日本全体の観光価値を高めるための”投資”として使われているというわけです。
主要空港での顔認証搭乗手続きや、多言語案内の整備など、一部出国税による改善も見られるようになってきました。
ただし、全国的に見ればまだ課題も多く、「どこに使われているのか実感しにくい」と感じる人も少なくないのが現状です。
出国税が導入されている他国
日本以外にも、出国時に税金を課している国々があります。
- オーストラリア:「旅客移動税(Passenger Movement Charge)」 A$70
- イギリス:「航空旅客税(Air Passenger Duty)」 £13~£94(24時間以内の乗り継ぎ客除く)
- マレーシア:2019年9月1日から、8~150マレーシア・リンギットの出国税を導入
- アメリカ合衆国:国際線の出発および到着に22.90米ドル課税
- フィジー:出国時に200フィジー・ドル課税
これらの税金は、各国の観光インフラ整備や環境保護など、さまざまな目的で活用されています。
旅行の際は、目的地の出国税について事前に確認しておくと安心です。
出国税が課されないケース
出国税は、原則としてすべての出国者に課税されますが、一部のケースでは免除・非課税とされています。
2025年時点で明確に定められている免除対象は、以下の通りです。
- 2歳未満の乳幼児:年齢に関わらず、出発日時点で満2歳未満であれば免除対象
- 24時間以内に出国する乗継客:日本を通過するだけのトランジット利用者(到着から出国まで24時間以内)
- 政府関係者:外交官等:政府専用機・外交公用等での出国者・乗員なども免除
- 飛行機や船の乗員
- 天候などやむを得ない事情で日本に立ち寄った者
- 日本から出国したが、天候などやむを得ない事情で日本に帰ってきた者
- 強制退去者
出国税の今後と課題
現在の出国税は1,000円ですが、海外では日本より高額な国もありことなどを念頭に置き、税額を3,000円~5,000円に引き上げる案が浮上しています。
また、税収の使い道についても、近年問題が顕在化しているオーバーツーリズム対策として、観光地の交通機関の拡充や、空港の整備などにも活用しやすくするといった議論も続いています。
まとめ
現在も出国税制度は導入当初のまま継続しています。
頻繁に海外に出る方や家族旅行などでは、出国税の負担は意外と大きくなることもあります。
主にインバウンド観光客に向けた財源ということで、日本人からも課税するのはおかしいという意見もあるかもしれません。
しかし、観光立国としての日本の魅力づくりに貢献する制度として、前向きにとらえていきたいです。
なお、政府で出国税の引き上げが検討されています。
現時点では詳細は決まっていませんが、海外旅行に行く方にとって大きな負担になる可能性もあるため、政府の動きについては注視しましょう。
今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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